(著者コメント)
皆様、こんにちは。
本書を手に取っていただき、心より感謝申し上げる。本書を手にすることによって、少しでも皆様の学習や業務の助けになれば、これ以上の喜びはない。
まずは、本書がどのような経緯で制作されたかについて述べる。筆者は長年にわたり建築設備業界に携わってきたが、その中で特に痛感したこが、「空調機」および「外調機」に関する基本的な知識の重要性である。「空調機」と「外調機」は建築設備の中でも中核的な役割を果たしており、現場においても設計段階においても頻繁に取り扱われる。しかしながら、その知識は非常に専門的かつ複雑であり、初心者が独力で学ぼうとすると、大きな壁にぶつかることが多い。
実際のところ、こうした専門知識を深めようと参考書を手にしても、用いられている語彙や表現が非常に難解で、内容を理解するまでに多大な時間と労力を要することが多い。これが、建築設備初心者が学習するうえで大きな障壁となっていることが現実である。加えて、初学者が気軽に質問できるような環境が整っていないケースも多く、誰にも相談できずに立ち止まってしまうこともしばしばある。
こうした筆者自身の経験から、本書では「空調機」および「外調機」に関する基本的な事項を、できる限り平易な言葉を用いて説明し、初学者や業界に不慣れな方でも無理なく理解できるように配慮した。また、これにより、建築設備に対する心理的なハードルを下げ、より多くの方がこの分野に興味を持ち、学び始めるきっかけとなることを目指している。
本書の構成としては、「空調機」と「外調機」の基本的な仕組みや役割を理解することから始まり、さらに空気線図を活用して、これらの機器がどのように空気の状態を変化させるのかを視覚的に学べるよう工夫している。難解になりがちな理論部分も、図解や具体例を交えることで、読者の理解を助けることを意図している。
本書は、以下のような方々を主な読者層として想定している。
→ 一から空調機と外調機の基礎を学び直したいと考えている方。
→ 建築設備の分野にこれから関わろうとしている、あるいは業界に足を踏み入れたばかりの方。
→ 空調設備に対して漠然とした興味を持っている方。
なお、本書は業界の中上級者や、すでに設計実務に深く関わっているような方々を主な対象としていない。そのため、すでに豊富な知識をお持ちの方にとっては、内容的に物足りなさを感じる場面もあるかもしれない。その点については、あらかじめご了承いただきたい。
本書が、これから建築設備業界に関わる方々の学習の一助となり、少しでも理解を深めるための足掛かりとなれば幸いである。これを通じて、より多くの方が建築設備に関心を持ち、業務に対する自信を深めることを願う。
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