
冷房負荷は空気線図で追えるのに、では熱源チラーを何台に分ければいいのか - そこで手が止まる」
「冷却塔のアプローチとレンジ、どちらをいじれば公称冷却トンが動くのか、線図の外の話になると急に自信がない」
「AHUの冷却コイル容量は出せても、冬期の必要加湿量まで一気通貫で決めた経験がない」
「制御弁のCv値は選べても、バルブオーソリティが低いと制御性が破綻する理由を人に説明できない」
そんな悩みを抱える設計事務所・サブコン・ゼネコン設備部門の若手~中堅エンジニアに向けて書いた、空調・換気設備設計の実践書だ。
本書は、**熱負荷計算から空調方式・熱源機器・ダクト・換気・配管・制御・省エネまで、「機器をどう選び、容量をどう決めるか」を、無料のWeb計算ツール(mahiroApps)23本を動かしながら学べる**構成になっている。本文で設計手順を読んだら、すぐにブラウザでツールを開いて同じ建物条件を入力する。負荷・水量・静圧・アプローチ・Cv値・揚程を変えると機器容量がどう動くかを自分の手で確かめられるから、「**なぜこの容量なのか**」が体感で分かる。スマホだけで完結し、インストールも会員登録も不要だ。
4冊目『mahiroAppsで学ぶ建築環境工学入門』が「熱・空気・光・音がなぜそう振る舞うか(環境の理論)」を扱うのに対し、本書は「その負荷に対してどの機器をどの容量で選ぶか(設備設計の実務)」に軸を置く。**理論の続きとして機器選定を学びたい読者の"次の1冊"**になるよう設計した。
■ 本書で扱う 8 章+プロローグ
第0章 空調・換気設備設計の全体像 - 負荷→方式→熱源→搬送→制御→運用の6ステップ
第1章 熱負荷計算の実践 - ゾーニング・時刻別最大負荷・安全率・装置容量への落とし込み
第2章 空調方式と機器容量 - 単一ダクト/VAV/ファンコイル/パッケージ、AHUコイル容量、加湿量
第3章 熱源機器と冷温水系統 - 熱源容量・台数分割、冷却塔アプローチ、熱交換器LMTD、膨張タンク
第4章 ダクト系統設計 - 許容風速、圧力損失の積み上げ、送風機必要静圧、消音器
第5章 換気と排煙 - 換気回数法/人員密度法/CO2基準/ASHRAE 62.1、全熱交換器、排煙の法規
第6章 冷温水配管・保温・ドレン - 管径選定、JIS A 9501の防露保温厚さ、ドレン勾配、冷媒配管
第7章 制御弁と水搬送 - バルブCv・オーソリティ、ポンプ揚程・運転点・NPSH、変流量VWV
第8章 省エネと運用改善 - VAV/VWV/インバータ、台数制御、フリークーリング、エネルギー原単位
■ 23本のWeb計算ツールと完全連動
各章の計算例・演習をそのまま検証できるツールのURLとQRコードを掲載。たとえば --
- 事務所基準階の冷房負荷から必要熱源容量を出し、200kW以上なら2台分割と提案させる(第3章 heat-source-capacity)
- 冷却水量・入口水温・湿球温度を入れ、アプローチ5℃での公称冷却トンと推奨冷却塔容量を追う(第3章 cooling-tower-select)
- 給気風量とコイル出入口条件からAHU冷却コイルの処理熱量・水量・面積を出す(第2章 ahu-coil-capacity)
- 冬期24℃35%RHの部屋に必要な加湿量kg/hと、気化式・蒸気式それぞれの所要能力を比較する(第2章 humidifier-capacity)
- ダクト系統の圧力損失を積み上げ、送風機の必要静圧を確定する(第4章 fan-static-pressure)
- 冷水ポンプのH-Q曲線と系曲線の交点(運転点)を可視化し、変流量でどう動くかを見る(第7章 pump-operating-point)
- 制御弁のバルブオーソリティN値を診断し、低オーソリティで制御性が落ちる理由を数値で確かめる(第7章 cv-authority)
うち3本(cooling-tower-select・humidifier-capacity・heat-source-capacity)は本書のために新規開発した「Kindle連動ツール」で、他の無料ツールでは実装されていない冷却塔アプローチ補正・方式別加湿器容量・熱源台数分割の自動計算ができる。
■ 各章の構成
この章で解決する問題(現場ケース) → 基礎理論(第一原理から) → 計算例(数値入りステップバイステップ) → mahiroAppsで検証 → 演習 → 現場の落とし穴 → 章末まとめ。巻末に全演習の詳細解答と参考文献・索引を収録。
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