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 ▼EPS,DSの防火区画貫通処理について  デフェンソル 19/3/25(月) 18:41
   ┗Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  響 19/3/26(火) 1:12
      ┗Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  デフェンソル 19/3/27(水) 7:05
         ┗Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  響 19/3/28(木) 0:03
            ┗Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  デフェンソル 19/3/28(木) 5:38
               ┗Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  響 19/3/29(金) 1:00

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 ■題名 : EPS,DSの防火区画貫通処理について
 ■名前 : デフェンソル
 ■日付 : 19/3/25(月) 18:41
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   建築設備設計(主に機械)に携わる初学者です。
まだ、建築士や建築設備士といった資格は持っていません。
仕事をすればするほど、この業界は非常に広範(機械、電気、建築、あるいは法律etc..)な知識が求められるのだと悟り、知識不足を痛感する今日この頃です。(一応、3年程経ちますが一人前になるには10年はかかるんじゃないかと思う・・汗)。

そこで仕事柄、改修物件などの現場調査の随行で特殊建築物に該当する比較的大きめの施設(集合住宅、図書館、病院など)のEPSやDSなどを拝見することがあるのですが、防火区画貫通処理に対して色々と日頃の疑問が積み重なってきましたので、質問させて頂きます。

防火区画貫通処理について、、、
@基本的には床や壁などの防火区画が形成されている部分を貫通する配管等は区画貫通処理を行うものと思いますが、竪穴区画とされているシャフトの場合、例えば1階、2階と階層を跨ぐ際、どのような場合においても貫通処理は必要ではないのでしょうか。
Aまた、そもそもシャフトの定義とはなんでしょうか。分電盤や各種操作盤あるいは空調機などの機械が設置してある場合も竪穴区画とすることができるのでしょうか。

*上記の疑問は上述の施設においてEPS内の層間を貫通する配線が何も処理されていない現場がけっこう多くみられたことによります(厳密にはおそらく最初は処理されていたものが配線の改修等により外されている。枠が設けられておりその中を配線が貫通。)。現場を見たときには竪穴区画になっているから問題ないのかなぁ〜などと思っていましたが、よくよく考えれば、そもそも竪穴区画になっているのかも判断がつきません(苦笑)。

初歩的なこと思いますが、以上、防火区画と区画貫通処理について正しい理解を得たく質問させて頂きます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  ■名前 : 響  ■日付 : 19/3/26(火) 1:12  -------------------------------------------------------------------------
   まず最初に、防火区画(建築基準法施行令第百十二条の各項)と
防火上主要な間仕切壁(同施行令第百十四条の各項)は最低限理解しないと、
貫通処理の必要箇所が見えてきません。

詳細に書こうとするととても足りませんから、内容を絞って書きます。

@について

・竪穴区画は、9項に書いてあります。条文を一部分だけ抽出して読むと
 「地階又は三階以上の階に居室を有する」という文言が有りませんか?
 この条件に引っかかった場合が竪穴区画になります。
 (ただし書きなどありますので、よく読んで判断してください)
・つまり引っかからなければ竪穴区画ではないので、竪穴区画としての貫通処理は
 不要です。
 ただし面積区画や高層区画がかかっていたら、貫通処理が必要です。

Aについて

・シャフトの定義として敢えて挙げるのであれば、同施行令第百二十九条の二の五 七号の
 ただし書きの記述でしょうか。
・EPSについては竪穴区画とする事は不可能ではありませんが、壁の貫通では納まりを
 考慮すると非現実的な為、スラブで貫通処理をする事が一般的です。
・DSについては逆にスラブで区画を切ると、ダクトの系統を考慮すると
 FDの設置位置があまり良い部分ではありませんから、竪穴区画とするのが
 一般的ではないでしょうか?

そのほか

・貫通処理工法の根拠法令は、施行令第百二十九条の二の五 七号と
 施行令第百十二条 14項(少し前まで15項でした、改正が有って変わってます)
 ですが、令第百二十九条の二の五 七号のうち「イ」が仕様規定、
 「ロ」が配管の肉厚(例えばVP管による貫通)、「ハ」が大臣認定工法による
 貫通処理です。
・改修物件などの現場調査も行われているようですが、貫通処理材は現行法だと
 大臣認定なものの、20年くらい前まではBCJ認定で貫通部の耐火時間が
 異なったりしました。

上記は全て、建築基準法に基づく内容です。
消防法による令8区画や共住区画に関しては、また別なので注意して下さい。

参考url:
https://www.daiichihoki.co.jp/jichi/kenpro/img/sa2.pdf
↓少々古い資料ですので、条文が変わってる事に注意してください。
https://www.furukawa-ftm.com/bousai/base.htm
https://www.furukawa-ftm.com/bousai/syoubou.htm


# 質問文が理路整然としていて、読みやすくて良い文章ですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  ■名前 : デフェンソル  ■日付 : 19/3/27(水) 7:05  -------------------------------------------------------------------------
   響様

色々とご教授頂きありがとうございます。一通り条文に目を通すだけでも時間がかかってしまい返事が遅れました(簡単に1〜2時間は過ぎていく・・苦笑)。自分の質問を読み返すと、色々と勘違いをしていた部分があったように思います。

頂いた回答について、まだ全てを咀嚼できているわけではありませんが、、、

>・EPSについては竪穴区画とする事は不可能ではありませんが、壁の貫通では納まりを
> 考慮すると非現実的な為、スラブで貫通処理をする事が一般的です。
>・DSについては逆にスラブで区画を切ると、ダクトの系統を考慮すると
> FDの設置位置があまり良い部分ではありませんから、竪穴区画とするのが
> 一般的ではないでしょうか?

上記部分について、
「一般的にEPSはスラブで貫通処理」というのは施工上、シャフトが狭い場合に壁で貫通処理をするのは難しい、改修の際に配線のやり替えが難しい、などの理由でしょうか。
また、「DSをスラブで区画を切るとFDの設置位置があまり良い部分ではない」というのは、どのような意味でしょうか。ダクトがスラブを貫通するということはFDの位置がスラブの直下、DSの上部になってしまう=点検がしづらい、といったような理由でしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  ■名前 : 響  ■日付 : 19/3/28(木) 0:03  -------------------------------------------------------------------------
   ・EPSの場合

共同住宅だとおそらくイメージしにくいので、庁舎や病院などのEPSを想像して
頂きたいのですが、

1、幹線の縦系統が敷設されているケーブルラックに対して、貫通処理を施工
2、EPSの二次側から出ている数十本のFケーブルや弱電ケーブルに対して
  貫通処理を施工

を比較すると、「1」の場合は床スラブ(俗に言う水平区画、層間区画)に
対して貫通処理を行えば済むのに対して、「2」の場合では

・区画となる壁を、わざわざ上階の床スラブまで立ち上げる必要が有る。
・区画の壁に開口部が有る場合は、施行令第百十二条13項二号に基づく
 防火設備が必要(EPSが常閉の建具だと、メンテを行いにくいのでは?)
・EPS内に分電盤や端子盤が有る場合は、二次側のケーブルが大量に出るが、
 その二次側のケーブルを載せられるだけのケーブルラックを敷設するとなると、
 狭いEPSの場合は、天井面へやたらケーブルラックを吊るとケーブルを
 敷設するのにラックが邪魔して、作業しにくいのでは?
・上記に関して、条件次第では天井仕上げ面と梁下端のレベルの関係上
 ラックを通せない場合も有るが、こうなると全て細かくケーブルを
 貫通処理していくのか?
・分電盤からOAフロアへケーブルを敷設する場合、どうやって納めるのか?
 電線管を1m以上突き出す又は床スラブ打込みを行うのか?大臣認定では、
 特に乾式壁だとスタットや建具の支持の関係上、納まらないのでは?

といった問題が考えられます。

ですから、EPSを竪穴区画とする事は不可能ではありませんが、
あまり好ましいとは言えないのではないでしょうか。
(通常、EPSの建具は常閉の扉にする事はありませんが、過去に
 排煙関係で指導を受けて、やむなく常閉とした例は有ります)

・DSの場合

これもEPSと同様に、庁舎や病院などの場合を想像して頂きたいのですが、

A、DSを竪穴区画として、DS内の縦ダクトから分岐した各階のダクトへFDを設置
B、縦ダクトが各階の床スラブを貫通するたびに、FDを設置する

を比較すると、「B」の場合は

・FDに限らず、縦系統のダクトで各階床スラブ全てにダンパーがあると、
 どこか1か所でダンパー閉じると、その閉じたダンパーから先に繋がる
 ダクト(というか、上層階or低層階の換気なり空調)が使えない状態になる
・施行令第百二十九条の二の五 1項 六号での「地階を除く階数が〜」の条件に
 かかる建築物で「換気、暖房又は冷房の設備の風道〜」は、不燃材料で造る、
 という規定(ただし書きやH12年 告示1412号の緩和に注意)の考え方に反する

などから、ダクトの縦系統を床スラブで区切る(つまり層間で区切る)事は
下階の機械室から直上階のDSへダクトを貫通させる、など特段の理由が
ない限りは、計画上、あまり良いとは思えません。

もっともこの件に関しては、RC造で躯体そのものを縦系統のダクトにする手法
(現在では積極的に使う事はないと思いますが、昔は使われてました)や
機械排煙の指針で、排煙ダクトを層間で区切るのは望ましくないとの記述が
ある事も影響している気がしますが・・・

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  ■名前 : デフェンソル  ■日付 : 19/3/28(木) 5:38  -------------------------------------------------------------------------
   響様

詳細かつ明確にお答え頂きまして大変、恐縮です。納得のいく回答ばかりで、とても勉強になります。過去の経験に照らし合わせて概ね、具体的なイメージを掴むことができたように思います。

もう一点、時間があればお付き合い願いたいのですが、、、

>・FDに限らず、縦系統のダクトで各階床スラブ全てにダンパーがあると、
> どこか1か所でダンパー閉じると、その閉じたダンパーから先に繋がる
> ダクト(というか、上層階or低層階の換気なり空調)が使えない状態になる
>・施行令第百二十九条の二の五 1項 六号での「地階を除く階数が〜」の条件に
> かかる建築物で「換気、暖房又は冷房の設備の風道〜」は、不燃材料で造る、
> という規定(ただし書きやH12年 告示1412号の緩和に注意)の考え方に反する
>
>などから、ダクトの縦系統を床スラブで区切る(つまり層間で区切る)事は
>下階の機械室から直上階のDSへダクトを貫通させる、など特段の理由が
>ない限りは、計画上、あまり良いとは思えません。

上記につきまして、縦系統のダクトにダンパーを設けた場合、「縦系統のダクトが閉塞すると、それ以降のダクトが使えなくなる」ために好ましくないというのは私も感じいたのですが、私の数多くない経験上ですが、昭和50年代に建てられた官公庁物件において、縦ダクトにダンパーが設けられているものがありました。

地下1階地上4階建のRC造なのですが、縦系統のダクトがコンクリートブロックで囲まれていて、各階便所系統の排気ダクトや地下の機械室や電気室への給気ダクト等が納まっていたと思います。
設計図(系統図)によれば地下と最上階はFD設置、その他の階はSFDが設置されており、屋上設置の給排気ファンより給排気されています。実際の現場は上述のようにコンクリートブロックで覆われているようですがダンパーの存在を確認しようにも点検口もない(昔の仕様ですかね・・。点検口の設置の義務付けはH12年建告第1376号でしょうか・・。)ため、実際のところ詳細不明なのですが、上記に関連してとても不思議に思っていました。

これは、ただ単に昔の仕様(?)なのか、それとも他に理由があるのか、もし何かご存じでしたらお聞かせ頂ければと思います。

*余談ですが、改修物件の調査をしていると、まぁいろんな現場があるものだなと思わされます・・。ただでさえ建築は単品生産という性質上、様々な仕様のものが存在するのに古いものだと、現在では使われていない工法なのでは?と思われる場面に出くわすことが多々あり、非常に苦慮します・・。それが面白いと言えれば良いのですが(苦笑)。
最初に綿布や麻布で覆われた配管(昔はよく使われていたようですね・・)を見かけたときや、ダクトがモルタルや石膏(?)で覆われているもの(耐火性能を持たせるため?)を見かけたときは一瞬??が頭をよぎりました・・。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:EPS,DSの防火区画貫通処理について  ■名前 : 響  ■日付 : 19/3/29(金) 1:00  -------------------------------------------------------------------------
   仰っている内容について、例えば便所の排気を担うダクトだと、系統として

・換気をする為に、各階ごとに制気口と横方向の排気ダクトを設置
・各階の排気ダクトは、DS内にある縦系統のダクトへ接続
・縦系統のダクトは最終的に屋上にある排風ファンへ接続して、そこから排気

となっていて、

・縦ダクトが入るDSは、竪穴区画になっている
・各階のダクトは、DSへ飛び込む直前に室内側天井内へSFDを設置
・地階と最上階は避難又は防火上支障がないものとして、FD設置で認めて貰えた

という事では無いですか?(これは私が挙げた「A」方式です)
「A」方式ならばフロアー毎に制御できる訳ですから、「B」方式のように
無理やり全ての床スラブで区切ったせいで、他の階まで巻き添えになる、
という事は、極力避けられる訳です。
(そもそも「B」方式は、無駄にダンパー類が増える気もしますが・・・)

なお、防火区画を貫通するダクトへ設置する際のFDやSFDの基準については、
「S48年 告示2565号」がありますので、こちらも参照してみてください。

参考url:
http://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006617.pdf

> 改修物件の調査

工法的な部分もありますが、例えば居ながら工事になると仮設含め大変ですね。
それに、場合によっては改修図面を組み合わせないと現状が分からなくて
頭を抱えるのは私も色々と思い出がありますので、お察しします。

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